【商標】

好きなバンドのバンド名について商標登録できる!?

こんにちは。

前回のブログでお知らせしましたように昨年BLACK SABBATHが晴れて日本で商標登録されたわけですが、商標登録されたからと言って、オジーとトニーだけが、「BLACK SABBATH」をありとあらゆる商品やサービスについて独占できるようになったわけではありません。商標は、必ず商品又はサービスとセットで登録されることを覚えておいてください。

すなわち、特許庁に商標の出願をする際は、どんな商標を、どのような商品・サービスに使用するかを願書で特定する必要があり、その願書に特定した商標と商品・サービスによって、商標を使用できる範囲が決まります。

よって、商標が無事に登録されますと、他人は、願書に特定された商標と同一又は類似の商標を、願書で指定された商品・サービスと同一又は類似の商品・サービスについて、使用したり、商標登録出願できなくなるのがルールです(商標法第25条、第37条1号、第4条1項11号)。

今回、オジーらが、商標「BLACK SABBATH」について、どのような商品・サービスを指定したのかを願書を見てみますと、結構面白いです。ティーシャツや飲料用コースターなどグッズとしてありがちな商品だけでなく、「弁当箱」や「プランター」などの意外な商品・サービスについても幅広く願書に記載し、BLACK SABBATHの保護を図ろうとしています。

一方、BLACK SABBATH又はこれに類似する商標であっても、オジーらが願書に記載した商品・サービスと全く異なる商品・サービスについてであれば、他人は、商標登録を取得できる可能性はあります。例えば、「BLACK SABBATH」を歯磨き粉などの商品や喫茶店等の飲食物の提供などのサービスについて登録されることはあり得ます。

実際に特許庁のデータベースを調べましたら、既に、ある会社は、商標「ブラックサバス」を28類「フィギュアおもちゃ及びその付属品」について、商標登録を取得しています。この会社は、あの有名な漫画「ジョジョの奇妙な冒険」のキャラクターのフィギュアを制作していますので、「ブラックサバス」をキャラクターの能力(スタンド)のフィギュアに使用するのでしょう。おそらく。

以上のことを踏まえますと、たとえ、商標登録をご検討している商標が、既に登録されている他人のバンド名の商標と同一又は類似であっても、商品・役務が同一・類似でなければ、商標登録される可能性はあります。商標法には、登録のために満たすべき要件は他にもあり、「絶対に登録できます!」とは言い切れませんが、可能性は十分にありますので、もし、好きなバンド名にちなんだ名前について、商標登録をご検討されていたら、すぐには諦めずに、一度、登録の可能性等についてご相談ください。

ちなみにですが、私が“2番目に”好きなブラックサバスのアルバムは、「Born Again (邦題:悪魔の落とし子)」です。ボーカルは、オジーではなく、イアン・ギランで、サウンドのクオリティがイマイチと賛否両論のある作品ですが、私は結構好きです。もし、機会があれば、お試しください。